【平和な朝を切り裂くシュシュシュ】
1歳の娘を持つパパなら、一度は絶望したことがあるはずです。 せっかく買ったおもちゃには目もくれず、静かだと思ったらティッシュを1枚ずつ、丁寧に、かつ執拗に引き出し続けているあの光景。
「なんでティッシュなの?」「いつまで続くの?」
日々データと向き合っている私は、ふと気づきました。 「これ、森岡毅さんが説く『NBDモデル(負の二項分布)』で説明がつくんじゃないか?」と。
【スプレッドシートで娘を解剖する】
NBDモデルとは、簡単に言えば「誰が、いつ、どれくらい買うか(遊ぶか)」という確率を算出する魔法の数式です。 さっそく、我が家の娘の「ティッシュ・プレファレンス(好意度)」を数値化してみました。

- M(平均):30回(1ヶ月に合計30回くらいティッシュで遊ぶ=ほぼ毎日)
- K(こだわり度):0.8(数値が小さいほど、やる時はトコトンやる「ムラ」がある)
スプレッドシートの「罠」を突破せよ
いざ計算しようとすると、Googleスプレッドシートの標準関数 NEGBINOMDIST では、Kが1未満だとエラーを吐き出します。娘のこだわりは、Excelの想定を超えていたのです。
そこで、専門的な「ガンマ関数」を使って数式を組み直しました。
=EXP(GAMMALN($B$3+A5)-GAMMALN($B$3)-GAMMALN(A5+1)) * ($B$3/($B$3+$B$2))^$B$3 * ($B$2/($B$3+$B$2))^A5
【今日ティッシュが無事である確率は?】
計算の結果、恐ろしい事実が判明しました。

見てください、このグラフ。 「0回(一度も遊ばない)」の確率は、わずか 5.39% です。
つまり、朝起きた瞬間、「今日ティッシュが無事である可能性は、人気スニーカーの抽選に当たるより低い」ということ。 残りの約95%の確率は、右側に長く伸びる「ロングテール」へ……。一度火がつくと止まらない娘の執着心が、データとして可視化されました。
【アパレル実務への「接続」】
「娘がティッシュを引き出す確率」なんて分析して何になるんだ、と思うかもしれません。 でも、これこそがアパレル店舗経営の真髄です。
お客様も娘と同じです。
- K(こだわり度)が小さい商品:一部の熱狂的なファン(娘)が、何度でもリピート(引き出す)する。
- ロングテール:たまにしか買わないライトユーザーが、束になって売上を支えている。
「なんでこればっかり売れるんだ?」 「なんでこの在庫は動かないんだ?」
そう悩む店長さんも、NBDモデルで「確率」を理解すれば、勘や根性に頼らない、「心の余裕を持った在庫管理」ができるようになります。娘のいたずらを「ま、確率的に仕方ないか」と笑えるようになるのと同じです。
【まとめ:数字を知れば、もっと優しくなれる】
どんなに緻密な数式を組んでも、娘の「次の一手」を100%当てることはできません。 でも、データは「傾向」を教えてくれます。
今日、部屋がティッシュの海になっていても、私はこう思うことにしました。 「よし、今日もプレファレンス(好意度)は絶好調だな!」と。
「さあ、店長。次はあなたのお店のデータを、NBDモデルで解剖してみませんか?」



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