一つ前の記事で「商品の鮮度」を管理できるようになったあなた。次に気になるのは「お客様」の数字です。
「毎日必死に接客しているのに、リピーターが増えない…」 「顧客名簿を見ても、1回きりのお客様(F1客)ばかりで不安になる」
そんな悩みを抱える新米店長へ。実は、「お客様の8割が1回きり」というのは、あなたの店が不人気なのではなく、ブランドが成長している証拠かもしれません。
衝撃の数字:顧客の8割は「年1回」しか来ない
マーケティングの世界には「NBDモデル」という理論があります。これに基づくと、どんなに素晴らしいブランドでも、全顧客の約80%は「年間1回しか買わないライトユーザー」になります。
「えっ、あんなに頑張って接客したのに、2割しか戻ってこないの?」と絶望しないでください。実は、この「1回だけの人」が大量に流入し続けている状態こそが、お店の健康診断でいう「超健康体」なんです。
「1店舗のF1」と「ブランド全体のF1」の違い
ここで面白いデータがあります。
- あなたの店単体: F1客(1回客)が80%
- ブランド全体(EC含む): F1客が60%
もし自分の店では1回きりに見えても、ブランド全体でリピート率が高いなら、それは「お客様が場所を選ばず、ブランドそのものを愛して回遊している」という最高の状態です。
あなたの店で買ったTシャツを気に入ったお客様が、次は出張先の店舗や、夜中に布団の中でECサイトからリピートしている。Excelの数字の向こう側には、そんな広がりが隠れています。
【Excel実践】「バケツの穴」を可視化してみよう
とはいえ、自分の店の「今の状態」を知ることは大切です。Excelで以下の表を作ってみましょう。
準備するデータ
- 購入回数別の客数(1回、2回、3回以上)
- それぞれの合計売上金額
グラフで見る「パレートの法則」
「人数」と「売上」を並べた棒グラフを作ると、驚くべき事実が見えてきます。
- 左側の棒(人数): 1回客が8割を占める
- 右側の棒(売上): わずか2割のリピーターが、売上の半分以上を作っている
これが「パレートの法則」です。少数のコアなファンが、お店の土台を支えてくれていることが一目でわかります。
実務編:POSデータから「顧客ピラミッド」を作る3ステップ
理論がわかったところで、実際にあなたの店の数字を丸裸にしてみましょう。
STEP1:POSから「顧客別購買履歴」をダウンロードする
店舗のPOS端末や本部の管理画面から、以下の項目が含まれるCSVデータを出力します。
- 期間: 直近1年間(短すぎるとリピートが見えません)
- 項目: 「顧客ID(または会員番号)」「お買い上げ金額」

店長へのアドバイス: 個人情報は不要です。「ID」と「金額」さえあれば、分析は成立します!
STEP2:Excelの「ピボットテーブル」で集計する
ここが魔法の工程です。
- 出力したデータを全選択して [挿入] > [ピボットテーブル]。
- 行に [顧客ID] を入れる。
- 値に [顧客ID(個数)] と [お買い上げ金額(合計)] を入れる。

これで、「誰が、何回、いくら使ったか」の一覧表が爆速で完成します。

STEP3:COUNTIF関数で「バケツ分け」する
一覧表ができたら、あとは「回数」ごとに人数を数えるだけ。 別の場所に「1回」「2回」「3〜5回」「6回以上」という枠を作り、=COUNTIF(回数の列, "1") のように入力します。

「最初は『F1(1回客)』の多さにビビるかもしれません。でも、ピボットテーブルで集計して、わずか数%の『6回以上(ロイヤル客)』の名前(ID)が見えたとき、あなたの店を支えている本当の柱が誰なのか、数字が教えてくれます。」

店長が本当にやるべき「たった一つ」のこと
「8割の1回客を、全員リピーターにする」のは不可能です。それは自然の摂理に反する努力です。
店長がやるべきは、「8割のライトユーザーを呼び込み続けるパワー(新規性)」を維持しながら、「その中から2回目、3回目と階段を登ってくれるわずかなファン」を絶対に見逃さないことです。
「今日、初めてお買い上げいただいたあのお客様。半年後、別の店舗やECでもいいから、もう一度私たちのブランドを選んでくれるような記憶を渡せたか?」
数字を追うのは、そのためです。
まとめ
リピーターの少なさを嘆くのは今日で終わりです。それは、新しい出会いが毎日生まれている証。 Excelの数字を「ただの記録」ではなく、「お客様との絆の深さ」として読み解いていきましょう。
ここをさらに深掘りしていくともっと面白いことを発見することができるようになっていきます。
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